【スタンド考察】蓮見琢馬のザ・ブックを解説!

ザ・ブック/The Book

破壊力:?
スピード:?
射程距離:?
持続力:?
精密動作性:?
成長性:?


The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜


ザ・ブック


本体名:蓮見琢馬(はすみたくま)


完璧な自伝の本

破壊力:?
スピード:?
射程距離:?
持続力:?
精密動作性:?
成長性:?

ジョジョの奇妙な冒険第四部と乙一のコラボ作品、The Bookに登場するスタンド。
メインキャラクター、蓮見琢磨のスタンド

能力は「本体の記憶を文章として記憶し、この文章を読んだものに記憶を追体験させる」。

蓮見琢馬だけが触れることのできる、本の形をした能力顕現型スタンド。

本体の蓮見琢磨はいわゆるサヴァン症候群の人物のように、全ての体験を完全記憶してしまう体質をもつ。

感じたことを全ての五感まで憶えており、さらにそのとき「自分」の思考も完全に記憶している。
これは細部までの鮮明な視覚の記憶、聴覚の記憶、皮膚に当たる空気の質感、心にふくれ上がる驚き、といったものを正確に脳内に再現できるほどである。

そして、忘れることが出来ないため、幼少の頃から記憶の飽和に頭がはち切れるばかりの苦悩を抱えていた



その出生からスタンド使いとしての素質があり、極限まで記憶の飽和に悩まされた時、この状態から解放されるために、自身の記憶を格納するザ・ブックを発現させた

ザ・ブックはダークブラウンの革表紙をしている、ハードカバーの単行本サイズの本である。
厚さは単行本程度であるが、無限に白紙のページが生成されて終わりがない。

ザ・ブックには蓮見琢馬の生まれてから今までの全ての記憶が記載されている。
このスタンド能力によって、本体の蓮見琢馬は自身の記憶をコントロールできるようになっており、不意に連想から過去の苦しい記憶をまざまざと明確に思い出すことも、記憶で頭がいっぱいになることもなくなっている。


ザ・ブックは記憶の外部装置というだけでなく、「体験の再現」を行うことができる。
ザ・ブックを開き、ページを読むと、該当する箇所に書かれた蓮見琢馬の体験の記憶が読者の頭に書き込まれ、その場で強制的に体験を再現する。

作中でも、交通事故に遭った記憶で自分の過去を知るものを消して回り、ハサミで手首を切って自殺未遂した記憶で東方朋子を傷つけ、インフルエンザに罹った記憶虹村億泰を倒している。

この「追体験」はザ・ブックの文章を読む必要はなく、文章が目に入るだけで発現する。
なお、ザ・ブックはトト神と異なり、スタンド使いにしか見えないが、一般人には見えないザ・ブックのページを目の前に置いても「追体験」は発動するようだ。

ページそのものに能力があるのかというとそうではなく、ザ・ブックのスタンド能力発動には文章が読めることが条件となる。
このため、動物や日本語が読めない外国人には発動しない。

この「追体験」は本体の蓮見琢馬自身にも効果を発動する。
自分自身にも身体的・精神的に危害を加える負の記憶は「禁止区域」と指定して、自身で目にしないようにしている。

この追体験現象して蓮見琢馬は「究極の小説があるなら、それは読んだだけで人を殺せる」と述べている。


ザ・ブックの能力の射程距離は2メートル程度。それより離れて本を開いて見せても効果がない。
しかし、スタンドの射程距離は30メートル程度のため、遠くに本を開いたまま置いておくこともできる。
さらに、ページを破いて切り離しておくことも可能。




知性の整流

能力の本質は「知性のダイオードと転写」。

ジョジョ世界において、「記憶」や「意識」、「感情」といったものは「知性」と呼ばれる第5の力として存在している。
通常、自身の体験を通じて発生する「知性」はその瞬間から発散、減衰していく。


蓮見琢馬は経験する全ての感情、体感、記憶を自動的に完璧に記憶し、想起する能力を持っている。
恐らく蓮見琢馬は「知性」を完全保存する体質なのであろう。

そして、勘違いされがちであるが、これは蓮見琢馬の体質であり、ザ・ブックの能力ではない。
もちろん、ザ・ブックが発現する要因になっているので、完全に不可分ではないが。
ザ・ブックの能力は体験する全てを完全保存しようとする「知性」の流れの制御である。

ザ・ブック発現前の蓮見琢馬は自身の脳にリアルタイムで体験を「知性」として脳内に書き込みながら、読み出しも行っていた。
この際、任意の読み出しだけでなく、連想によるフラッシュバックも起きていたため、いじめられた経験、叱られた経験、気味の悪い虫を潰した感触などが不意に明確に蘇り、生活に支障をきたしていた。

ザ・ブックはこの読み出しを完全に断つ能力を持つ。
それはまるで血管の静脈弁や電気回路のダイオードのように、一方向(書き込み方向)にしか「知性」を流さないというものである。

これにより蓮見琢馬はこれまで通りに「知性」を記憶しながらも、不意のフラッシュバックをしなくなり、人並みの記憶能力になったのである。


さらに、ザ・ブックは記憶される「知性」を文章という形で保存する。
蓮見琢馬の長期記憶は全てザ・ブックのページの中に文章として刻まれる。
生まれてから現在に至るまでの記憶が、ザ・ブックの最初のページから順に記載されており、今なおリアルタイムで記述される。

そして、ザ・ブックは刻まれた文章を媒介にして、保存された「知性」を読んだものに強制的に転写する。

ザ・ブックを読んだ標的は、文中の記憶を転写され、自身の記憶と思い込んでしまう。
この記憶は蓮見琢馬の生来の記憶力が相まって、普通の人物がふと思い出す記憶以上に明確で鮮烈な、今この瞬間体験しているかのような瑞々しさを持つ。

このため、ショッキングな感情や交通事故の瞬間のような強烈な痛みを伴う記憶を転写されると、身体が記憶のフィードバックを受け取り、蓮見琢馬の当時の状態と全く同じ状態に陥る。

暗示にかかった人間が、熱した鉄串をこれから当てると言われて実際に火傷を負うように、交通事故に遭う記憶を転写されると重傷を負い、インフルエンザの記憶で重篤な症状を示す。

なお、この記憶の転写は蓮見琢馬本人にも影響する。
本人はこれを利用して、過去の自身の体験を俯瞰的に見直すことで効率的なナイフ捌きのトレーニングを行ったり、過去に眺めた本を記憶の中で読書している。

また、ザ・ブックの方向を固定する能力のためか、ザ・ブックの任意のページをいきなり開くことはできない。
記憶を読み込む際には必ず現在からページを遡って開いていかなければ、任意の記憶に辿りつかないようだ。
ページをめくる速度はかなりのものであるが、それでも目的の箇所まで数秒かかる。





復讐のために生きた少年

蓮見琢馬は大神照彦と飛来明里の間に生まれた子供で、双葉千帆の異母兄にあたる。
その境遇から、生まれてすぐ母親と生き別れてしまう。
その決定づけられた境遇から、生まれてすぐにかけられた母親の言葉、願いを憶えているために、蓮見琢馬は「わすれない」という能力を手に入れた。

しかし、その膨大な記憶能力から、人を避けるようになり、孤独になっていた。
孤児院で成長していく過程で、ザ・ブックを発現させた蓮見琢馬は、生まれた瞬間からの記憶を冷静に遡ることで自分と母親を不幸にした父の存在を知り、復讐を決める。


クールで感情表現に乏しい少年だが、双葉千帆にだけは心を開いている。
しかし、広瀬康一から罪深いと表現する復讐を成し遂げながらも、東方仗助に敗れる。


なお、スタンド名はずっと付けていなかったが、虹村億泰と戦闘の際に、ザ・ハンドにちなんでザ・ブックと名付けている。


出典:荒木飛呂彦原作 集英社出版 ジョジョの奇妙な冒険

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