破壊力:なし
スピード:なし
射程距離:∞
持続力:A
精密動作性:なし
成長性:なし
ボヘミアン・ラプソディー(自由人の狂詩曲)
本体名:ウンガロ
破壊力:なし
スピード:なし
射程距離:∞
持続力:A
精密動作性:なし
成長性:なし
2次元のキャラを実体化
本体名の元ネタはフランスのファッションデザイナー、エマニュエル・ウンガロまたは本人の設立したブランドのungaroから。
スタンド名の元ネタはイギリスの伝説的ロックバンドQueenの名曲ボヘミアン・ラプソディー(Bohemian Rhapsody)から。
能力は「キャラクターに実体を与え、魂を取り込んで物語通りに完結させる」。
麻薬に溺れて死にかけていたDIOの息子の1人、ウンガロの能力顕現型スタンド。
スタンド像はなく、広範囲にわたって能力を発動する。
その能力は漫画や絵画など印刷物、芸術作品などのキャラクターを実在化する、というものである。
ボヘミアン・ラプソディーの能力の射程距離内に入ったコミックスや看板などの印刷物、テレビの中のアニメーション、映画館のスクリーンなど全ての創作物が対象となる。
効果範囲に入った創作物に描かれているキャラクターは創作物から抜け出し、実在化して動き出す。
しかもボヘミアン・ラプソディーの能力の射程距離は広大で、徐々に広まったものと思われるが最終的には世界規模となっている。
作中では少なくともフロリダ州オーランド、イタリアのフィレンツェ、そして日本でボヘミアン・ラプソディーの影響が確認された。
特に日本では鉄腕アトムやマジンガーZ、北斗の拳のケンシロウ、イタリアでは芸術作品の実在化が起きたようだ。
能力の射程距離内に同一のキャラクターが登場する創作物が複数ある場合で実在化するキャラクターは1体のみである。
キャラクターが実在化してしまった創作物は以降、世界中全てでキャラクターだけ忽然と消え去ったものになる。
なお、ボヘミアン・ラプソディーの発動の中心に近い漫画や印刷物、絵本などからキャラクターが実在化すると思われる。
ただ、これだけなら夢を実現するようなだけの能力である。
ボヘミアン・ラプソディーで実在化したキャラクターと出会うと「肉体」と「魂」が分離させられ、「魂」が出会ったキャラクターの物語に別のキャラクターとして取り込まれてしまう。
そして、物語の世界に引きずり込まれた人物の魂は、そのまま物語の結末と同じ結果を辿ることになる。
例えば「オオカミと7匹の仔山羊」の仔山羊に出会った人物の魂は強制的にオオカミにさせられ、ハサミを持った母山羊に腹を裂かれて死ぬことになる。
また、白雪姫のようにハッピーエンドな物語に引きずり込まれたとしても、その結末の後に魂が戻ってくることはなく、行方しれずとなってしまう。
キャラクターに出会い、過去に一度でもその作品に心動かした経験があれば無差別に物語に引きずり込んでいくため、被害は爆発的に拡大する。
作品やキャラクターを知らなければボヘミアン・ラプソディーの術中に陥ることはないが、世界的に有名なキャラクターが実在化していくため、逃れることはかなり困難である。
物語に「魂」が取り込まれてしまった場合、どんなに抵抗しても物語通りに進んでしまう。
スタンド使いの場合、「魂」側はスタンドを使って抵抗することができるが、微妙にストーリーが変わるだけで物語の結末が変わることはない。
無差別かつ射程距離も広大と凶悪なスタンドである。
弱点は本体のウンガロを叩くのみだが、作中では自身の弱点を百も承知のウンガロは飛行機に乗って能力発動したまま空へと逃亡した。
物語そのものを現実にする
能力の本質は「物語の実在化」。
ボヘミアン・ラプソディーはそのスタンド能力の全てを広範囲にわたる創作物の物語の実在化に使っている。
さらにボヘミアン・ラプソディーは創作物のエネルギーを媒体として使うことで、世界規模の大きな影響を生み出している。
DIOが語るように、創作物は何年何十年、何百年と時間を越えて場所を越えて、人に感動や影響を与え続けている。
芸術とはそれだけで時空を越えたスタンドと言える。
そして物語も同様に人に対して、現実に大きな影響を与えている。
ボヘミアン・ラプソディーはその創作物が「魂」を震わせることをほんの一押しする能力である。
絵本や漫画、印刷物に描かれた世界やキャラクター達を見て思い出す。
かつて子供の頃、空想の中で彼らの世界に入り込み、キャラクター達と共に遊んでいたことを。
創作物はそれくらいに世界を創り出し、空想の世界へと誘う強力な「知性」の塊、スタンドパワーを持つ。
創作物に触れて感動した頃の純粋な気持ち、心の動き、憧れが魂を動かし、「肉体」と「魂」の分離を行う。
白雪姫に憧れたチョコレート屋の親父、ピノキオの物語が好きだったアナスイのようにかつてそのキャラクターや物語が好きだった人間は、そのキャラクターを見ると魂が分離する。
魂の振動を利用して、魂を肉体から遊離させやすくするのはアトゥム神と同じ手法である。
この魂は恐らく心を動かした自分の一部なので、肉体が魂を失ってしまう、というわけではない。
キャラクターに心動かした魂はスタンド使いにも一般人にも見えず、魂同士とキャラクターにしか見えていない。
このため分離した肉体の方は自分の魂が見えず、分離したことに気づかずどこかへ行ってしまう。
なお、スタンド使いの場合、魂の方にスタンドも付いてくるため、肉体側はスタンドなしとなってしまう。
ボヘミアン・ラプソディーは物語を実在化する。
これはキャラクターでも世界でもなく物語。
物語には読み手が必要となる。
このため、キャラクターにかつて共感した読者たる存在が物語の読み手兼登場人物となって、実在化した物語を完結へと進行させる。
これはボヘミアン・ラプソディーの能力でもあるが、物語が持つパワーである。
物語は必ず完結しなければならないし、必ず読み手がいる。
物語を現実にしたが故に、読み手が必ず完結させるということも実在化しているのである。
オオカミは必ず母ヤギに腹を裂かれて石を詰められて溺死するし、赤ずきんちゃんを襲う前に猟師に殺されるのである。
創作物のエネルギーによりこの結末を変えることは出来ない。
一応、キャラクターを殺し切ることで魂の分離は一時的に解除されるようであるが、ボヘミアン・ラプソディー自体が解除されるわけではないため、また第2第3のキャラクターによって魂を分離させられてしまう。
ゴッホの自画像やヴィーナスの誕生といった芸術作品も、芸術家の人生という物語を実在化している。
このため、芸術作品に感動した人間はその芸術家の辿った人生を辿ることになる。
作中でも漫画のキャラクターは記憶喪失のため回避したウェザーもゴッホに感動した過去から魂を分離され、ゴッホ同様に拳銃自殺させられそうになっている。
本体を倒さない限り無差別なこの能力は、恐らく創作物のつながり、創作者のつながりといった「知性」からの近似性類似性という距離から伝搬して物理的な距離を跳び越えて広まったと思われる。
ハーミットパープルでも考察したが、「知性」の距離はどれだけ似ているか、で決まっていて物理的な距離に制約されない。
ボヘミアン・ラプソディーは無差別であるが故に、作中では天才ゴッホに描かれたキャラクターすらも実在化している。
天才ゴッホが描いた、というストーリーも実在化するため、即興のキャラクターにも関わらず強い影響力を持って生まれたようだ。
作中、ウェザー・リポートの機転によってボヘミアン・ラプソディーは再起不能にさせられたが、もしこのまま最後まで能力が継続していたらどうなっていただろうか。
本体のウンガロはこれまで自分を馬鹿にしてきた世界を絶望に落とそうとしていた。
その精神の発露がボヘミアン・ラプソディーなので、恐らく世界規模での芸術作品の実在化を狙っていたのだろう。
そうすることによって、世界中の芸術作品が喪失し、そして人類の魂がストーリー通りの結末を迎える。
人類は芸術を失い、そして芸術に感動し、物語に希望を見出す魂を失う。
この二重の絶望がボヘミアン・ラプソディーの最終段階と思われる。
アナスイもそうであったが、魂と分離した肉体の方は「希望」を失っているからから、ふとしたことで死にかけている。
希望のない人間は、生きる気力すら失うのだろう。
物語の中の希望に縋っていた男
荒木先生曰く、物語を語る語り部とは、世界で2番目に古い職業であるらしい。
その物語の中には太古を生活の知恵、生き抜く術、そして厳しい世の中で縋る希望であった。
母親をDIOの餌にされ、何もかもうまく行かず世を拗ね、麻薬に溺れていたウンガロもまた小さい頃は物語に希望を見出していたはずである。
誰しもが先が見えず暗くなった時、創作物やそのキャラクターに頼ったことがあるだろう。
そこから、真っ直ぐに向上すれば良し。
幼少期のジョルノがギャングの生き様によって真っ直ぐ育ったように、近くの大人が手本になれば良かった。
人類の「心の宝」、希望である創作物を利用する無敵の能力であったが、作中ウェザーがやってみせた方法で完全に攻略されてしまう。
ボヘミアン・ラプソディーはその能力ゆえに、その能力を無効化するキャラクターを描かれた時点で絶対に完封されてしまうのである。
それが分かったウンガロはスタンド能力を悪用して人生変えてやろうと思っていたことが叶わぬことを知り、絶望からリタイヤしてしまう。
出典:荒木飛呂彦原作 集英社出版 ジョジョの奇妙な冒険
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漫画考察ランキング1位達成!!漫画ランキング1位狙ってますので、
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