【スタンド技術考察】ウェカピポのレッキング・ボール(壊れゆく鉄球)を解説!

レッキング・ボール(壊れゆく鉄球)/Wrecking Ball.

ウェカピポの凶悪な攻撃性能を持つ
レッキング・ボール(壊れゆく鉄球)について考察ッ!

ウェカピポのレッキング・ボール

レッキング・ボール(壊れゆく鉄球)

14の衛星を発射するレッキング・ボール

本体名:ウェカピポ

元王族護衛官のウェカピポ

王族護衛官の鉄球技術

元ネアポリス王国の王族護衛官にして、大統領の刺客、ウェカピポの鉄球の技術。
ネアポリス王国の王族護衛官が用いる技術である。
本体名の元ネタは日本のヒップホップグループ、SOUL’d OUT(ソウルド アウト)から。
鉄球技術の元ネタはニール・ヤング(Niel Young)の楽曲、レッキング・ボール(Wrecking Ball)から。

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能力は「鉄球の回転と衛星で攻撃し、回転の振動で左半身失調を起こす」。

ウェカピポの鉄球投擲の技術はネアポリス王国の王族護衛官に伝わる技術である。
これはツェペリ一族に伝わる「黄金の回転」と異なり、より敵を倒すことに特化した攻撃的な技術だ。

王族護衛官の鉄球にはジャイロの鉄球とは異なる特徴がある。
1個の鉄球に対して、14個の直径1センチ強程度の小鉄球がパーツとして付属している。

この小鉄球は「衛星」と呼ばれている。
鉄球が何かに衝突すると、14の衛星全てが回転しながら発射される。
鉄球の周囲を回転しながら進むところから、衛星と呼ばれているのであろう。

回転エネルギーによるものなのか、衛星は大まかに標的の方向へ発射される。
小さいとはいえ、鉄の塊が散弾銃のごとく発射されるため、回避は困難。
回転で威力も増加しているため、当たれば人体を貫通し、当たりどころが悪ければそれだけで即死してしまう。

ウェカピポのレッキング・ボール

レッキング・ボールは避けにくく、威力も強い凶悪な攻撃に特化した鉄球技術である。
さらに、衛星をなんとか回避したとしても、レッキング・ボールのもう一つの特徴である左半身失調が発生する。

この左半身失調は衛星の回転に触れたり、ギリギリで回避して回転エネルギーの空気の振動に触れるだけで起きてしまう。

この左半身失調とは、「左側」を認識できなくなる、という現象である。

これは視界の左側全体が認識できなくなるだけでなく、視界の右側にあるものもヒトもその「左側」が認識できなくなる。
このため、左半身失調を受けたジョニィは自身の左半身が見えず、あることもわからず、何に触れているかも認識できなくなり、バランスを崩してしまう。

そして正対しているジャイロの身体が真っ二つになって、左側(つまり正対しているので右半身)が認識できなくなっている。

この認識できなくなる、という表現を作中では左側が削られて消失しているように描かれている。

この左半身失調は数十秒ほど持続したあと、元に戻る。

標的を左半身失調で足止め、混乱させているうちに標的の左側に仲間を回り込ませて、認識できない位置からの攻撃で確実に仕留めさせる、というのが王族護衛官の戦い方である。

作中でも、ウェカピポは自身の鉄球と左半身失調でジャイロとジョニィを足止めし、マジェント・マジェントに回り込ませて狙撃させている。





左半身失調とは何だったのか?

真の能力は「回転による身体と脳神経の情報伝達操作」。

レッキング・ボールはツェペリ一族の鉄球技術と同じように、肉体の操作も可能としている。
作中でもジャイロが使っていた肉体硬化を活用して、ダメージを抑制している。

そして、ツェペリ一族が体中の神経すらも鉄球の回転で刺激するように、レッキング・ボールは脳神経を刺激する。
レッキング・ボールは回転の振動で脳梁および右半球の情報伝達を抑制していると考えられる。

レッキング・ボールによる左半身失調

脳梁というのは右脳と左脳をつなげるケーブルのような器官で、左右脳間の情報伝達を司っている。
人間の神経は複雑かつ膨大で、その全てを脳が管理しているのであるが、身体の各部の処理を脳の様々な部位が分担していることがわかっている。
例えば前頭葉という部位が思考を司り、脳幹は呼吸や心拍を司る。
大脳辺縁系は記憶や感情を司っているため、誰をも怒らせるサバイバーはここを刺激している。

そして、右脳は左視野と左側の身体のコントロールを司り、左脳は逆に右視野と右側の身体のコントロールを司っている。
人間は左右の脳が別々に右半身と左半身を管理しており、それを脳梁で相互に情報伝達しあうことで統合しているのである。

この脳梁のおかげで、右目と左目それぞれに映っている映像を1つに違和感なく統合し、右半身と左半身をずれなく動かすことができている。
レッキング・ボールはこの脳梁を回転の振動で刺激し、情報伝達を抑制してしまう。

これにより、右脳からの情報が届かなくなるため、左視野が消失し、左半身が認識できなくなる左半身失調が発生するのである。
なお、作中の左半身失調は左視野だけでなく、右視野に映るものの「左側」も消失している。

ここから、空間認識や左右の体感覚を統合する頭頂葉と呼ばれる部位の働きも抑制していると考えられる。
レッキング・ボールは左側の視覚情報、体感覚を脳梁で抑制しつつ、頭頂葉を刺激することで「左側」そのものが理解できなくしているのである。

ツェペリ一族の「黄金の回転」ほどの応用力はないものの、レッキング・ボールは十分に高度で脅威的な技術である。


さて、ここからは現実に存在する左半身失調について述べ、レッキング・ボールをさらに考察していく。

そもそも、なぜ左半身失調なのか?右半身じゃダメなのか?
という疑問が湧く。
これは現実にある分離脳患者半側空間無視という症状から考えてみる。

かつて、てんかん患者への治療として脳梁を切断する手術が行われていたことがあった。
この手術で左脳と右脳が分断された分離脳患者に対する研究によって、右脳は空間認識や直感、非言語的な情報処理をしていて、左脳は計算や論理的、言語理解をしているということが分かった。
実験によると、右目だけに映像を見せると、映像は左脳で処理され、被験者は言語で映像を説明することができるそうである。
しかし、左目だけに映像を見せると、映像は右脳で処理されるため、被験者は言語で映像を説明することはできない。しかし、左手で映像を描くことはできるというのである。

脳梁が切断されると、意識は二つに分割されてしまう?といった疑問は湧くが、思考を言語で表現するとするなら、漫画的には左脳側の意識で表現した方がわかりやすいだろう。
右脳側だと言語的な説明が一切できなくなってしまうわけだ。
だから、レッキング・ボールは右脳側の情報が抑制され、左半身失調するのである。

もう一つ、半側空間無視という症状からも考察する。
これは大脳半球に病巣ができることで発生する症状で、空間や物体の左側に注意が向かなくなる、認識しなくなるという症状である。
これはレッキング・ボールの左半身失調のように左視野が認識できなくなるだけでなく、茶碗の右側の内容物しか食べなくなる、というように「左側」そのものが認識できなくなる。

この半側空間無視は左側だけにおこり、右側では起きないという。
これはなぜか?
上記の分離脳の実験からさらに時代が下り、実は脳の右半球は左空間だけではなく右側の空間も認識していることがわかってきている。
対して、脳の左半球は右空間だけを認識しているという。

よって、大脳半球に病巣ができて、脳の右半球を損傷したとしても半側空間無視は症状として表れず、脳の左半球を損傷したときのみ「左」半側空間無視となるのである。
こういった現実にある症状から、レッキング・ボールの左半身失調というアイデアを荒木先生は創り出したのではないだろうか。





既に壊れゆく男

ウェカピポは護衛鉄球を操るネアポリス王国の元王族護衛官で、作中時点で31歳。
そんな由緒正しい来歴のある彼がなぜアメリカ大統領の刺客になっているのか。

ウェカピポの歩んできた道程が壊れ始めたのは、妹の結婚相手がクズだったところからだろう。
ウェカピポは仕事を通じての友人を妹の結婚相手として紹介している。
その男は裕福な財務官僚の息子で、ウェカピポは今後の妹の幸せを願っての紹介だったと思われる。

だが、妹の夫は結婚後に彼女を虐待し、左目を失明までさせていた。
ウェカピポは嘆き悲しみ、これを妹の幸せを勝手に思い込みで進めた罰と受け取った。
職を失う覚悟で婚姻無効を教会と法王から取り付ける決断をしたのである。
作中、明言されていないがネアポリス王国はキリスト教のようである。
そして、キリスト教では教義として離婚が禁止されている。
だからウェカピポは教会と法王の名の下に婚姻無効で進めようとしたのだ。

だがそれが逆に妹の夫の逆鱗に触れた!

妹の夫の逆鱗に触れた!

恥をかかされた妹の夫はウェカピポと鉄球の決闘で責任を取らせることにした。
結果的にウェカピポが勝利するも、妹の夫は死亡。
決闘は法的に認められた行為であったが、妹の夫の親が政府の高官であったために、ウェカピポは終わっていた。
婚姻無効を訴えた時点で既に終わっていた。

この決闘は勝っても負けても、妹もウェカピポも行き場はなかった。
ウェカピポは殺される身だったところをグレゴリオ・ツェペリに死んだことにされて国外追放。
妹もいつしか事故死したと聞かされていた。

絶望したウェカピポはアメリカでの市民権と永住権を得るために、大統領の刺客となる。

自分を国外追放した男の息子であるジャイロとの闘いとなる。
この対決は互いに手の内を知った上での死闘なので非常に熱い。
ウェカピポはツェペリ一族の黄金の回転に敬意を払っており、「黄金の回転」が発動できない雪原を戦場に選ぶ。

だが、この闘いもまた既に終わっていた。
ジャイロはウェカピポの妹の手術に立ち会っており、さらにその後のことを父グレゴリオに聞かされていた。

ウェカピポは有利な戦場で、黄金の回転に敬意を払い、油断せず、身体硬化の回転など駆使してジャイロを圧倒した。

ただジャイロは諦めなかった。
ネットに弾かれたボールがどちらに行くのかはわからない。
しかし、奇跡を信じて諦めずにもがいていた。
そしてウェカピポの妹がグレゴリオによって生かされていたことも知っていた。
だから、勝利を引き寄せた。

逆に言うと、ウェカピポは終わっていた。
そして刺客として失敗した以上、彼に行き場は無い。
妹が生きているなら戦う理由もない。

そこでジャイロは護衛官としての仕事をウェカピポに与える。
彼にとって見ず知らずのルーシーの保護だ。
ルーシーもまた近しいものの都合で結婚し、そしてそれをスティール氏によって無効にされた女性である。

すでに人生がにっちもさっちも行かなくなっているウェカピポだが、ルーシーを守るという指針を得て、その生き様に尽くそうと受け入れられたのかもしれない。

その後は大統領の罠に嵌められ、Dioに裏切られての無惨な最期であったが、心は清らかでいられたようだ。



ウェカピポは、ジョジョのキャラクター名、スタンド名が洋楽の元ネタとなっている中で、日本の音楽名を元ネタはした記念すべきキャラクターである。
SOUL’d OUTのデビュー曲、ウェカピポ。
これはWake up peapleという意味だそうなので、最後に黄金の精神らしきものに近づけたウェカピポに合うのではないか。

そしてレッキング・ボールであるが、これは巨大な鋼球で建築物などを破壊する重機などで利用するもの。
転じて、無鉄砲などという意味のスラングでもあるらしい。
ウェカピポは決してそういうタイプではないが、ただいざという時の決断が奇跡ではなく、悪い方向へと転がってしまうところが近しいのかも知れない。


出典:荒木飛呂彦原作 集英社出版 ジョジョの奇妙な冒険

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